ドイツ人アーティストのハイケ・ムッターとウルリッヒ・ゲントが手掛けたこの高架通路を登って行くのは、まるでジェットコースターに乗っているようです。
高さ21メートルのこの彫刻のような歩道は、タイガー&タートル-マジック・マウンテン(Tiger and Turtle – Magic Mountain)と呼ばれ、ドイツのデュースブルクの丘の上に建っています。
鋼鉄の構造の表面に階段が巻き付き、らせん状にアップダウンしている姿はまるで遊園地の乗り物のよう。
Above: photograph is by Werner Hannappel
来訪者は地上にある入口から彫刻に登ることが出来ますが、中心に宙返り部分があるため全てのルートを歩ききることは誰にも出来ません。
ジェットコースターのレールのように曲がりくねったパビリオンについての記事を最近掲載しています。そのプロジェクトについてはこちらからご覧いただけます。
Photography is by Heike Mutter and Ulrich Genth, apart from where otherwise stated.
以下はアーティストからの情報です:
ハイケ・ムッターとウルリッヒ・ゲントの大型彫刻作品「タイガー&タートル-マジック・マウンテン」は11月13日から一般公開されます。ゆるやかなカーブを描くジェットコースター型のこの作品は遠くからも見えるので、最近ではデュースブルク南部にある公園のような造りをした眺めの良いハインリヒ・ヒルデブランド・ホーエの頂上からの景色の目玉となっています。
この作品のダイナミックなカーブや円は、21メートルの高さまでそびえ、それ自体がここの景色のシンボルのように刻みこまれています。遠くから見ると、メタリックで光沢のあるレールは、スピードと加速度がどんどん増していくようなイメージを与えます。近くで見ると、レールだと思っていた物は階段であることが分かり、階段は精巧に曲がりくねってジェットコースターのコースに沿っています。
見学者は自分の足で作品に上ることが出来ます。コースはループを描いていますが、そのループが物理的な障害となるため、全てのルートを制覇することは不可能です。さらに、作品の一番高いところでは、つまり地上から45メートルのところですが、訪れた方には西ルール地方の素晴らしい眺めを楽しめるというご褒美があります。
Above: photograph is by Werner Hannappel
「タイガー&タートル」は、スピードと行き詰まりの内在的な対立を通じて、この地域が変化している状況と再生と再構築に向けた方向転換を示しているのです。彫刻作品は、ジェットコースターの作りだすイメージに対する期待への不合理なねじれを伝える一方で、否応なしにイメージとして定着する地域を越えたランドマークとしての役割を反映しているのです。
この作品は、明確な解釈を拒否した不合理な矛盾の彫刻と永続的な成長という論理を結び付けています。土台は44 ×37メートル、高さ21メートルの彫刻は、ドイツ最大級の規模を誇るだけでなく、工学技術の最高傑作でもあります。 特に階段の描く線は(アーノルド・ウォルツとの共同開発)、結果的に優雅に曲がりくねって様々な表情を見せる3次元の形を取り、そのためにこれまで誰も達成できていない挑戦を隠し持っているのです。
ハイケ・ムッターとウルリッヒ・ゲントは、8年前から公共スペースと展示会場でアート・プロジェクトを共同制作しています。彼らの作品は“場所”そのもので、作品は公共性を広げるという目的のために特別に作り上げられ、その考えをよく反映したものになっています。2007年以降、この2人のアーティストは、ハイケ・ムッターが教鞭をとっている美術大学のあるハンブルクに生活と制作の拠点を置いています。