イギリスのドーセット州にある、 このポッド状の森の隠れ家は、木の間に張ったネットの上に浮かんでいる。
アメリカ人デザイナー、Jesse Randzioは、 アーキテクチュアル・ アソシエーションの12人の学生達と一緒に、 ドーセットのフックパークで、一ヶ月の長いワークショップを通じて「浮遊する空間」を2007年に完成させた。
上記：パクソ・パクストンによる写真
材料は現地で調達され、ポッド部分はアカスギの厚板で、クリンカー張り（鎧張り）ボートのスタイルを踏まえて作られている。
銅製のリベットが外殻を繋ぎ合わせ、鉄製の煙突が天井から突き出ている。
このポッドは、ケーブルを張って周囲の木から吊り下げられ、浮遊させた鋼鉄のリングに取り付けたネットの中に載せられている。
上記：パクソ・パクストンによる写真
ロープのネットをよじ登ってから、小さな楕円形の扉が隠れ家の癒される室内へと導いてくれる。そこでは小さなストーブを焚くことができ、見晴らしの良い森一面の風景が外から覗いている。
上記： マーティタ・ジョレンス・エチェガライによる写真
中にいる人の動きによって穏やかに揺れ、まるでボートの船体の中にいるような感覚がする。
写真は、ここから特に記載のない場合はJesse Randzioによる撮影
デザイナーからの更なる詳細
「AV Custerson Award」は、フックパークの木材をプロモートするプロジェクトへ資金を援助する目的で、アーキテクチュアル・ アソシエーションのコミュニティーのメンバーに年一回授与される。2007年の第3回の受賞者であるジェシー・Randzioは、森の中に吊るされた隠れ家「浮遊する空間」の制作のため、一ヶ月に渡る夏期のワークショップを企画した。
そのプロジェクトは、2008年にロンドンのアーキテクチュアル・ アソシエーションで公開された。
「浮遊する空間」は、アカスギで作られた、ちょうど２〜３人が座ってくつろげるような空間である。そこには建設の痕跡はなく、あるのは影のみで、景観にもほとんど影響を与えていない。周囲の景観にぴったり合わせて仕立てられているが、どのようにも適応は可能だ。ドアは高所にあってとても小さいが、一度中に入ればそこはとても安全で快適な空間で、中には暖かいストーブが焚かれ、ケトルには紅茶が用意してある。
ジェシーは、 AAスクール中の12人の学生達と協力して、4.5平方メートルの浮遊するカプセルをデザインし、制作した。グループは、ライム・リージスやブリッドポートの地元の工房を訪問し、ボートの製造や装具の技術を学んだ。
ポッドは、ベイスギ（米杉）を用いて鎧張りボートの製法で造られ、銅製のリベットや外装品、鉄製の煙突やストーブ等も備えられた。材木は、フックパークの森で伐採されたもので、他の資材も地元で揃えられた。
私達は、審査中のAV Custerson Awardのプロジェクトの将来に提案をしている。5年ごとに、周期的な森林の管理計画に沿って、プロジェクトは再評価を受け、その過程で、それぞれのプロジェクトの妥当性や、フックパークでの他のプログラムとの関係性を明示するべきである。
そうすることで私達は、フックパークが活発で生き生きとした生産的な機能を存続していくことを、確実に保護していくことができるのだ。「浮遊する空間」は製造から5年目に入り、再考察の時期を迎える。
