スイスの建築事務所HHF (HHF)が設計した展望台「ルックアウトポイント」は、メキシコの117キロメートルに及ぶLa Ruta del Peregrino(巡礼の道)に沿いにある新たな8つの建造物の一つである。
ハリスコの山岳地帯を抜けるこのルートは、17世紀以来巡礼者に人気があり、新たに建設される施設は、休憩所としての役目を果たすと同時にこのルートのシンボルでもある。
今年の巡礼から、ルックアウトポイントが休憩所として利用可能になった。
このうち6棟は完成し、残る2棟は現在建設中である。
このプロジェクトに携わった建築家は次の通りである。
Fake Design, Luis Aldrete, Christ & Gantenbein, Dellekamp Arquitectos, Elemental, Godoylab, Omar Orlaineta, Periférica and Tatiana Bilbao.
2009年にDezeenが公表した「ルックアウトポイント」の完成予想図はこちら。 (see our earlier story).
Photography is by Iwan Baan.
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建築事務所からの説明は次の通りである。
Ruta del Peregrino
Jalisco, Mexico
La Ruta del Peregrinoは、聖タルパへの崇敬をモチーフにした、宗教色の強い建造物です。
La Ruta del Peregrino(巡礼の道)は、全長117キロメートルに及びます。
メキシコ各地から、毎年約200万がハリスコの山脈地帯を横断する巡礼の旅に出ます。Amecaの町を出発して海抜2000メートルに位置するCerro de Obispoまで登り、Espinazoの山頂を横断して目的地であるTalpa de Allendeの町にたどり着きます。人々はそこで聖タルパに遭遇し、忠誠・信念・感謝の気持ちを表すのです。
17世紀から行われているこの巡礼の旅は、険しい山道を乗り越えることで、巡礼者の信仰心が試されるのです。
この禁欲を伴う犠牲的精神こそが、身を清める儀式の重要な部分です。
このプロジェクトの目的は、歴史ある巡礼の道を整備することにより、巡礼者により良い環境を提供し、同時にこの宗教的儀式を利用して、地域一帯の経済効果を高めることにあります。
この体系的な構想に基づいたプロジェクトでは、異なった意味を持つ環境に優しい建造物が構築されています。
総合的な見地から、基本計画では環境に配慮した通路や施設、さらに象徴的な建築物を構築して宗教色を高める一方で、巡礼の道が一般の観光客にも受け入れられるように配慮がなされています。
周囲の風景や宗教的儀式と深く関わる7棟の建造物が、巡礼の道の特色を語りかけ、地域の風景に溶け込んだ空想的な世界を生み出します。
異なるデザイナーが手がけた個々の建造物は、土地とのつながりや宗教的意味合いが蓄積されることで、一つの大きなテーマを生み出します。