レバノンのデザインデュオ、Bokjaは、アラブの世界を刺繍した地図を制作した。それは、変化して行くアラブ社会の政治や伝統をタペストリーで表現している。
2点の作品のうち一つめのタイトルは「アラブの秋」、一方、二つめは「アラブの春」というタイトルをつけられており、それは2010年にアラブ社会で始まったデモや抗議活動の広がりを指す名前に因んでいる。
「アラブの秋」の地図では、インポートジーンズの生地で海が描かれ、輸入文化の繁栄が、いかに母国の伝統に取って替わっているのかを示している。
「アラブの春」の地図は、古いカーペットの中央に編み込まれており、それは、古めかしくはあるものの、大切にされてきたアラブ文化の価値を象徴している。
それぞれのタペストリーの中には、ファーストフードを食べている魔人ジーニーや、空を飛ぶ象といった、象徴的なイメージが配置されている。
Bokjaのホダ・バロウディとマリア・ヒブリは、ビンテージの中東の織物をよく作品に用いる。他の作品はこちらから。
以下、デザイナーからの詳細
Bokjaが制作した「アラブの秋」の地図は、輸入された流行やファーストフードによって、不朽の伝統や母国の優雅さが置き換えられてしまったアラブ社会の悲しい現実を表すため、背景にはインポートのジーンズを織り合わせている。空を飛ぶ象は、様々な地域の、批判的な目をもった市民達の世代に無理やり押しつけられてきた、全ての空虚なスローガンを思い起こさせる為の役割を果たしている。
Bokjaによる「アラブの春」の地図が描写しているのは、こうした目覚めなのだ。背景に用いているのは古くて貴重なカーペット(私達の価値観の核を表現しているもの)で、それはすべての新しい作品のベースとなる。カーペットは、まるで私達が放棄してしまった沢山の理想のようにぼろぼろの状態で、再生を必要としている。
楽観主義的で、元気を取り戻せるような雰囲気を持っている。地図には象徴するシンボルが沢山あり、中でも、馬に乗っている女性は、未知なる世界への旅の途中だ。