オーストラリア人建築家のラファエロ・ロッセリが、シドニーにて、腐食したブリキ板でできた納屋を小さなオフィスとスタジオを持つ空間へと再生した。
撮影:リチャード・カー
ラファエロ・ロッセリは、今にも倒壊しそうな構造物を完全に取り除くのではなく、その2階建て建物を覆った錆びた波形の金属被覆材を再利用した。そのため、外観にはほとんど変化がみられない。
「質素なブリキ板でできた納屋はオーストラリアの象徴的構造物です。この地域で唯一残存するその納屋は、郊外における産業の軌跡を思い起こさせるユニークなリマインダーです。」と、ロッセリ氏は語る。
まず建物を分解し、古い骨組は新しい木造の骨組へと取り替えた。その後、ファサード3ヶ所を金属被覆材で覆い、新たな窓を3ヶ所取り付けた。
窓のフレームは、既存のファサード同様のオレンジトーンのコルテン鋼のシートからできている。また、ロッセリ氏は次のようにも語っている。「産業経済の精神から、材料には加工を加えず素朴な風合いを生かしました。」
外観とは対照的に、建物内1階のリビングスペース・2階のオフィスは白い壁に合板の床ですっきりと仕上げた。
別途、名前が記載されている以外の全写真はマーク・サイクによる撮影。
以下、ラファエロ・ロッセリによるプロジェクトの説明。
Tinshed
質素なブリキ板で作られた納屋はオーストラリアの象徴的構造物です。このプロジェクトは、シドニー、レッドファーンの静かな住宅地の裏側に佇むブリキ板でできた既存の納屋を再生することでした。
撮影:リチャード・カー
角地に立つこの納屋は、平屋の並ぶ住宅街にある窓のない細長い2階建ての個性的な建物でした。この地域で唯一残存するその納屋は、郊外における産業の軌跡を思い起こさせるユニークなリマインダーです。
オリジナルの建物
このプロジェクトの概要は、オフィススペースとスタジオのある建物として生まれ変わらせることでした。当時、納屋は壊れかけており、構造的にも不安定でした。当初のブリキ板の納屋を取り壊し、新たな木造の骨組みが完成するまで別の場所で保存しました。長年の修繕により層状に重なった波形鉄板は再び組立てられ、3ヶ所のファサードへと変貌をとげました。
1・2階のフロアプラン - こちらをクリックして拡大図を表示
壁を切り抜いて取り付けたコルテン鋼製の窓枠は、車道と路地にまで突き出し、かつて窓のなかったスペースに光が射し込みました。産業経済の精神から、材料には加工を加えず素朴な風合いを生かしました。西側の壁面は繊維セメントのパネルで覆い、室内は合板の床と建具により暖かな印象を加えました。
横断面 - こちらをクリックして拡大図を表示
このプロジェクトは、錆びて腐敗しては修繕するという過程を繰り返しながら時と共に変化し続けることを見越しています。
縦断面 - こちらをクリックして拡大図を表示
デザイナー:ラファエロ・ロッセリ
ロケーション:オーストラリア、シドニー
竣工年:2011年