スコットランドの建築家 Page\Park が、スコットランドのウィキーソンに視覚障害を持つ海軍、陸軍、空軍の兵士のセンターを完成させました。
1階建てのスコティッシュ・ウォー・ブランデッド・センターの形はこの慈善団体にある龍の形の彫刻からヒントを得たもので、建物は曲がりくねった形をしており、トタン屋根は波打っています。
隣の敷地には、古い建物の後に新しいデイケア・センターとリハビリ・センターが建てられ、工作室や美術室、トレーニングエリア、ジム、セラピールームや管理部などが入っていて、追悼ルームやセンサリーガーデン(五感を使って楽しむ庭園)もあります。
写真:アンドリュー・リー
以下は建築家よりの情報です:
スコティッシュ・ウォー・ブランデッドは、職務中に視覚障害を負ったスコットランドの海軍・陸軍・空軍の兵士たち(男女とも)の治療を目的として、1915年にエジンバラで設立されました。近年の紛争地から多くの退役軍人をこちらの組織で受け入れているため、スコティッシュ・ウォー・ブランデッドは、治療分野を広げてより良い治療をしていくためには、新たな施設を作る必要があると考えました。
750平方メートルの新しい敷地に広がる施設はウエストロージアンのリンバーンの素晴らしい場所にあり、隣の敷地に建つ1950年代の施設の後を継ぐものとなりました。設計案は、以前の施設の展示室に飾られていた中国の手彫りの龍神の記念彫刻からインスピレーションを得たものです。波打つトタン屋根の描く曲線とねじれた形に、この龍神の彫刻の影響が現れています。
この建物はデイケア・センターとして機能し、視覚障害を抱えた退役兵士たちのリハビリや生活スキル支援などのケアを行う一方で、くつろげる社交場にもなっています。工作室、美術室、トレーニングエリア、ジム、セラピールームなどの設備が整い、管理室や追悼ルームもあります。建物の南側には景観に配慮されたセンサリーガーデンとテラスが作られ、教育的施設というだけでなく娯楽的な側面からも楽しめるようになっています。近年こちらで支援する人々の年齢や性別などの構成が変わりつつあるとこが影響し、ここでの活動内容も多岐に渡っています。
建物の内側は流れを非常に重視していて、ゆったりとカーブを描く背骨のような柱に支えられたほぼオープンプランの構造になっています。この施設では、プライバシーと壁や防音が必要な、小さく補助的なスペースは建物の中心近くの"さや"の部分に配置されている一方で、人が行きかう場所と大規模なスペースは外部の壁の近くに配置されるように設計されています。建物の構成はできるだけシンプルになるようにと考えられています。そうすることで利用者が建物内部を簡単にイメージすることができ、歩き回るのがラクになるのです。また、出入り口と方向の変わる場所では、はっきりとした表示(建築的にも色使いも)が用いられ、利用者にとって道がさらに分かりやすいようにしています。
曲線を描く形状は放射状格子上に設計され、冷間圧延された母屋で満たされたポータルフレームを使用して作られています。ねじれて伸びた形状は穏やかな面によって形成され、2つの比較的短い湾曲した構造材を含むスチールフレームのみで出来ています。下の鉄骨構造のクラッディングのために、落ち着いた色合いの素材が建物全体に使用されています。屋根はトタン板で作られ、外壁は大きなガラス張りの窓にそって木材パネルで覆われています。内部の"さや"型のスペースはオーク材で飾られ、細部は大きなねじれた屋根の下に家具が並んでいるように装飾されています。
包括的なデザイン
依頼主の性質を考え、計画の当初から包括的なデザインを最優先に考えました。利用者は様々な程度の視覚障害を持った人々であり、またそのうちの多くが年配の方なので、計画の様々な重要部分について慎重に検討しなくてはなりませんでした。私たちはチームとしてDDA条件を単に満たしているだけではないものを目指さなくてはなりませんでした。ウォー・ブランデッド・クライアントのグループメンバーに加え、アダプと・アクセス・サービスからも助言を受けました。
第一に建物と周辺の庭はすべて1階にあり、車椅子利用者でも隅々まで行くことが出来ます。それに加えて、建物内はどこも敷居が非常に低く、行き来する際に隠れた危険が無いようにしています。
建物内部では主要な通路は広々と作られ、片側の壁づたいに歩行補助のための手すりがずっと取り付けられています。この手すりは、視覚障害者のガイドにもなっています。廊下から部屋へと入る場所では、レイアウトでも壁の色使いの面においても、はっきりとした表示が用いられています。
各部分(床、木材のパネル、ドアのラミネート、天井)の仕上げの光反射率(Light Reflectance Values = LRV)を研究した結果、このようなアクセスポイントで色を付ける場所のカラー選択を慎重にすることが出来たので、十分な視覚コントラストが得られるように出来ました。
緑の証明書
スコティッシュ・ウォー・ブランデッドの新しいセンターの設計開始当初から、“持続可能”という考え方に基づいて設計されました。自然に生育している植物が多くの場所で有効活用され、暖房は地熱を利用したヒートポンプを使用しています。エネルギー需要を最小にするため、設計時にはしっかりとした断熱と空気の密閉が考えられました。更に窓ガラスの枚数も慎重に管理され、太陽光の取り入れと熱の喪失の管理の必要と共に採光のバランスも考えられています。
調達方法: 伝統SBCC方式
価格: 240万ポンド
計画認可: 2009年10月
工事開始: 2010年1月
プロジェクト完成: 2011年1月
所在地: カークニュートン、ウィルキーソン
設計の特色: Sweeping zinc roof, Curving geometry, Designing for the sensory impaired
階数: 1階
資金提供:ロイヤル・ブラインド / スコティッシュ・ウォー・ブランデッド寄付金よる
依頼主: スコティッシュ・ウォー・ブランデッド
プロジェクト建築家 Jamie Hamilton
監督 Karen Pickering
パートナー David Page
建築エンジニア: SKM Anthony Hunt, Douglas Walker
M&E:Harley Haddow, Chris McLaren
QS: NBM, Bryan Houston
景観設計: Ian White Associates, Sam Shaw
建設業者: Main -Brown Construction, Grant MacIntosh