建築家・岡田公彦氏が支柱で支えられたらせん状の家を広島に完成させました。
金属の柱で地上から引き上げられた2階建ての住居・戸田邸は中庭を取り囲むように建っています。
中庭から1階ロビーへは階段が続いていて、住人は建物の中を歩いて中庭に出ることが出来ます。
ここから部屋は反時計回りに曲がり、上に向かってどんどん続いて行きます。
らせんの両端にバルコニーが設置され、バルコニーからは海が見渡せます。
岡田公彦氏が手掛けたアルミニウムを大量に使用した作品に関する2つの記事を以前に掲載しています。記事はこちらからご覧いただけます。
Photography is by Toshiyuki Yano.
以下は建築家による解説です。
敷地は広島のゆるやかな高台の上にある住宅地で、遠くに瀬戸内海や宮島を眺めることが出来ます。
この地域は段々畑状の高台になっています。
一段下に建つ隣の家の屋根を越えた眺望を確保することや、住宅地の端に位置するので防犯に配慮すること、そして今後小さな店舗を開店する時のために増築分の余地を残すことなどが希望として挙がっていました。
このご要望にお応えするため、家を地面から持ち上げています。
それによりまるで鳥の巣のように、外から守られているという建築が本来もつ安心感が得られています。
この家は開放感がありつつも不安の種や周囲の環境から守られています。
床スラブと屋根は1枚の板で構成されています。
上下を貫通する階段を作ることで、全体の流れに変化が生まれ多様で空間的な関係を生み出すことに成功しています。
板を延長することで将来の増築が可能となり、また地上レベルから見た時の威圧感を低減しています。
床スラブの厚さによってスパンドレル壁の高さも変えられています。
床スラブとスパンドレル壁が、様々な環境に対応しつつも統一感のある空間を作り出しています。
建設地:広島県広島市
用途:専用住宅(店舗増築予定)
構造:2階建て鉄骨
建坪:90.21㎡
延床面積:114.26㎡
構造設計:ストラクチャード・エンヴァイロンメント
設備設計:システムデザイン研究所