日本のデザイナー中村竜治は、格子状のベンチの枠に沿って、クレヨンを使って細いカラーの線を描いた。
中村竜治による「睡蓮のベンチ」は、パウダーコーティングされたステンレススチールでできた、長方形の鉄格子として始まった。
デザイナーはそれから、色鉛筆を使って4本の細い線をそれぞれの枠に沿って描き、透明のラッカーで上塗りした。
遠くから見ると、複数の色がぼんやりにじんで、一つの柔らかい色を作り出す。この技法は、印象派の画家にインスパイアされたものだと中村氏は語る。
このベンチは、今月の初めにギャラリー・リビー・セラーズにおいて、ブリティッシュ・カウンシル(国際文化交流機関)によって企画された、イギリスと日本のデザイナー達による展示会「Mark-ing London」の出展作品の一つだった。
昨年の「ロンドン・デザイン・フェスティバル」では、ジャスパー・モリソンやバーバー・オズガビーなどのデザイナー達による9脚のベンチが、V&A博物館の庭園に置かれた。
Deezenでは「伝統的なバルセロナチェアを基にしたベンチのシステム」や「剥き出しのフォームマットで布張りされたベンチ」などの記事も掲載しました。Dezeenで掲載した全てのベンチの記事を見る。
デザイナーからの更なる詳細。
このベンチは、ステンレススチールのラウンドロッドを格子状に組み立てた構造になっている。色鉛筆を使って6色に塗り分けられ、ベンチの周辺を歩くと、全体の外観を覆う色彩が視点によって変化する。
外観の形状は、6つの面を持つ長方形の平行六面体で、全ての面が異なった色になっている。精密なラウンドロッドで格子が組まれ、それぞれのロッドの表面は4種類の異なった色で塗られている。
この格子は1080のセグメントがあり、異なる色でペイントされる面の数は4320、つまり1080の4倍だ。それぞれの色の面積はとても小さいので、それらが混ざり合って一つの色として認識される。
使用している色の数は6色だが、混ざり合う色の比率は見る角度によって連続的に変化し、無限の色が生み出される。私はこのベンチを、まるで絵を描くかのようにして作り出した。それは、多くの色を細密に用いることで全体の外観を描き出す、印象派の絵画の思想にインスパイアされたものだ。
タイトル:「睡蓮」
目的:「Neoreal in the Forest」展に出展するためのベンチ
製作年:2012年
サイズ:W 1600mm / D 400mm / H 400mm
材料:2.6mmステンレス製ロッド、色鉛筆
仕上げ:パウダーコーティング+色鉛筆+クリヤラッカー
クライアント:キャノン
プロデューサー:TRUNK
デザイン: Ryuji Nakamura & Associates(Ryuji Nakamura, Makiko Wakaki, Ran Tanaka)
製作:Otti design works, Ryuji Nakamura & Associates