スペインのベニドルムにある、この47階建ての2棟の高層ビルの建設業者は、作業用リフトを組み込むのを忘れてしまった。
スペインの全国紙El Paisがレポートしたところによると、ヨーロッパで最も高い住居用の高層ビルの一つ、アリカンテにある200メートルの高さの”Intempo”タワーは、20階より上にエレベーターが無いまま建てられた。
スペインの建築家Roberto Perez Guerrasによってデザインされたこの高層ビルは、逆さにした円錐状の構造で最上部を繋いだ、2棟の対称的なタワーを特徴としている。
この建物は、当初は20階建てとしてデザインされていたが、後から開発業者が47階建てに拡張することに決め、269戸の住居を売り出した。ところが彼らは、部屋を追加したぶん、倍以上の高さに昇っていくリフトが必要となることを見落としていた。
この知らせは、プロジェクトの期間中にあった幾多の問題に続き、その上さらにやっかいな大失敗として、設計者や建設チームにもたらされた。
このプロジェクトは、2009年に建設会社が事情により清算手続きに入ったことで、最初の挫折に見舞われた。その後、エレベーターが13人の人を中に閉じ込めたまま落下し、さらにコスト削減のために車両通路を取り除いてしまっていたことから、救急車が現場まで近づけない、ということが起こった。
2008年に、設計者達はこのプロジェクトについて、開発企業のウェブサイト上で、「建築上の哲学のシンボルである」と表現した。企業は述べた「そこにある心地よさ、デザイン性や優美さは、未来の建築家やベニドルムの街にとっての基準を設定する」と。
「この壮大なビルディングは、建築やスペインの都市計画において、この前と後との分岐点となるだろう」と、設計者は述べた。
その設計者達は、既にこのプロジェクトを辞任している。この”Intempo”タワーは、2013年の12月に完成を予定しているが、忘れられたエレベーターをどのようにして解決させるのか、未だ明らかになっていない。
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