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Tuomas Markunpoika Tolvanenによる一時的なエンジニアリング

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アイントホーフェン・デザイン・アカデミーの卒業生であるTuomas Markunpoika Tolvanenは、家具を火にかけて壊す前に細い鉄のリングで覆い、ぼやけて色あせてゆく本来の形を思い出させる道具として使っています。(動画

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

自身のプロジェクトを一時的なエンジニアリングと呼んでいるMarkunpoika Tolvanenは祖母がアルツハイマー病に侵されている時の壊れていく記憶を元にしてこのプロジェクトを作りました。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

彼はLouise Schouwenbergの下でコンテキスチュアル・デザイン修士を学んでいる間にこのプロジェクトを完成させました。3人いる修士の個人指導教員の1人は学校とのいざこざで最近辞職し、それから勝利宣言ののち、学校に戻りました。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

アイントホーフェンに関するDezeenの記事はこちらをご覧ください。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

デザイナーからの詳細な情報は以下のとおりです:

一時的なエンジニアリング
人間のはかなさと物質文化への賛辞

私のテーマの主題は、家族の中における個人的な苦しみから出てきたものです。祖母が健康を損なったのが発端でした。かつては強く、勇気のある女性であったのですが、今では過去のイメージが薄れてきています。アルツハイマー病により彼女が今まで紡いできた人生がじわじわと崩れてゆき、祖母の人格や人生、記憶を消して単なる人間の殻で覆われたモノに変えてゆくのです。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

私は人間の感情範囲と価値をデザインしたいと激しく思いました。こうすることで、表現手段としてデザインを使い、非常に抽象的なものと物質的な世界の掛け橋を作ることにより、いかにして私たちが人間であるかを反映するためにです。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

物質文化

西洋の現代文化において、言葉の使用がほのめかすのは、記憶は所有とみなされることがよくあるということです。つまり記憶をはっきりと「保持」あるいは「保存」するのは、まるで自分の記憶が物質化されるようなことなのです。このようなモノは記念の品となり、個人の所有物となります。思い出に満ちたものが造られると、大切でかけがえのない物となります。記憶が物に移ったからです。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

はかなさ

私たちには概念の認識を特別な意味を持つ物に変えていく傾向があります。こうすることで物を大切にする気持ちが高まります。このことは心理学的、形而上学的、あるいは物のもろさを通じて表に出てきます。しかし、もろさというのは生命のはかなさ、私たちの自然が一時的であることを表現することにより、物をより価値のある、かけがえのない美しいものに変える傾向があります。

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一時性、手間、ダーザイン

哲学者のマルティン・ハイデッガーによると、一時性というのは私たちを人間として定義づけるものだということです。ダーザイン(ここにいるということ)は、一時的にダーザインであることは過去・現在・未来が一体化していることで、ハイデッガーは一時的な恍惚と言及しています。私たちが存在していること(ダーザインとして)は、本当に世話をすることを表しています。私なりのハイデッガー哲学の解釈は、世話をすることを通じて私達は人間としてより深く定義付けをするのです。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

美しさ

人間の人生がもろく、はかなく、不完全であるように、デザインは同じ価値を反映します。そうすることにより、周囲のものに手間をかけ、ダーザインを現します。私たちが物を象徴的に私たちと比べる時に、美の概念が物に移っていきます。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

デザイン

物に対して手間をかけるプロセスにおいて積極的に取り組む気持ちを高めるため、私はもろさの概念を取り込んで物をつくります。このような物は物理的、心理的な美点を一時的に通していきます。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

私の最後の物として選んだ物質はよくある建築材料のチューブ状になった鉄でした。このチューブ状の鉄を小さな輪に切断します。輪をつなげて一緒にして、既存の物を半分覆っている形をつくります。これは持っている物が心理的なスペースを得るための方法なのです。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

オリジナルの物は燃やして無くします。最初から存在する力がオリジナルの物を再生する方法として使われるのです。物は恐ろしいくらい見た目が変化し、物と記憶の形而上学的なつながりが存在を作り上げていきます。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

私が追い求めているのは、物に記憶を与え、完全で、名前のない大量生産した構造物と不完全な人間の間に緊張感と場所を作ることです。消え去った物の骨組みの残りにさわり、物の記憶に触れ、過去に思いを馳せます。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

私のテーマの意図することは人間のもろさをデザインした物に変えて人間的でより心の奥底にある価値を機能的で美学的で大量生産された完全さが最高のものであるデザインの分野に移すことです。機能性よりも形而上学的な経験によるデザインを創ることは私が強く望んでいたことでした。物やデザインにおける機能性に注意を払わないというわけではありません。私にとっては毎日ある物の退屈な機能性を引き上げることなのです。

Engineering Temporality by Tuomas Markunpoika Tolvanen

「一時性というのは本当に手間をかけることで自然と現れます。手間をかける構造の根本となるものを一体化が一時性にはあるのです」 -マルティン・ハイデッガー

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