オランダ人デザイナーのマルセル・ワンダースはパーティ用の風船を使った超軽量の炭素繊維(カーボンファイバー)のイスを製作しました。
カーボン・バルーン・チェアは、アムステルダム市立美術館で先週開幕したマルセル・ワンダースの回顧展の初日、欧州デビューを果たしました。
たった800グラムのこのイスは、圧縮空気の入ったパーティ用の風船を使った手作り作品。風船は炭素繊維に包まれ、エポキシ樹脂で強化されています。
イスの座面となっている網部分は格子状の炭素繊維で出来ていて、こちらもエポキシ樹脂の強化加工が施されています。
「(カーボン・バルーン・チェアは) “世界最軽量のイスの製作をしよう”というすべてのデザイナーに対する挑戦としてマルセルが思いついたものです。カーボンを使った製法は超軽量化の可能性がありマルセルのお気に入りです。このイスは材料が少なく済み、ゴミも少なく、非常に耐久性に優れています。」とデザイン事務所は語っています。
ワンダースの名を一躍世に広めたノッテッド・チェアを彷彿とさせるこのイスのデザインを見ても、風船であることは明らかです。ワンダースはノッテッド・チェアのフレームのマクラメ編み部分にもエポキシ樹脂を使っています。
ノッテッド・チェアも樹脂を使った軽量デザインで、この作品でワンダースは1996年に世界的に広く知られるようになりました。
市立美術館で開催中のマルセル・ワンダース:ピンナップ(Marcel Wanders:Pinned Up)では、1980年代後半から今日までのワンダースの作品のコレクションを紹介しています。美術館の下の階にできた新たなギャラリースペースには、家具、照明器具、カトラリー、壁紙、パッケージや宝飾品を含む400点以上の作品が展示されています。展示会は2014年6月15日まで開催予定。